
トラック荷台の種類と特徴を徹底解説
「トラック荷台」と一口に言っても、その形状や構造、素材、耐久性は用途によって大きく異なります。
たとえば、建設現場で使われるトラックは「重量物」や「汚れやすい資材」を運ぶために頑丈さと耐久性が重視される一方、食品や精密機械を運ぶトラックでは、清潔さや温度管理、防水性が最も重要視されます。
荷台の種類は、単に「見た目」だけではなく、作業効率・安全性・維持コストに直結します。
荷物をむき出しで積める「平(ひら)ボディ」と、雨風を完全に防げる「ウイングボディ」では、構造もコストもまったく異なり、使い方によっては年間数十万円単位で経費差が出ることもあります。
今回の記事では、トラックの荷台について色々とまとめてみましたので、ぜひ最後までご覧ください!
荷台選びで作業効率・コストが大きく変わる理由
適切なトラック荷台を選ぶことは、「荷物を運べるかどうか」だけでなく、現場の作業スピード・安全性・燃費・メンテナンス性にも関わります。
たとえば、フォークリフトで頻繁に積み下ろしを行う物流会社が「ウイングボディ」を導入すると、作業時間を大幅に短縮できます。
一方で、屋外の建設現場では「平ボディ」の方が取り回しが良く、コストを抑えながら効率的な運搬が可能です。
さらに、荷台の重量や構造は燃費にも影響します。軽量なアルミ素材を採用した荷台なら、1台あたり年間で数万円の燃料費削減につながるケースもあります。
つまり、荷台選びは「使いやすさ」だけでなく、「経営効率」をも左右する非常に重要な判断ポイントなのです。
トラック荷台の基本構造と役割
荷台の構成要素(フレーム・床・アオリなど)
トラックの荷台は、いくつかの主要パーツによって構成されています。
- フレーム:荷台の骨格であり、全体の強度を支える要の部分。素材はスチール製が多く、重量物を積む用途では特に耐久性が重視されます。
- 床(デッキ):荷物を直接載せる面。木製はクッション性があり衝撃を吸収、鉄板やアルミ製は耐久性や防水性に優れています。
- アオリ:荷台の側面や後方にある可動式の壁。横開き・後ろ開きなど形状もさまざまで、荷崩れ防止に重要な役割を果たします。
- 床下機構:油圧ジャッキや昇降機能など、特殊用途トラックに組み込まれる装置。荷役作業の自動化・効率化に寄与します。
これらの要素が用途に応じて最適化されることで、現場に合った“働くトラック”が完成します。
荷台タイプが変わると「運べるもの」「使い方」が変わる
荷台の種類は、運べる荷物の「形状・重量・性質」を決定づけます。
平ボディ:どんな荷物にも対応できる万能タイプ。形やサイズに制約が少なく、積載の自由度が高い。
ウイングボディ:箱型構造で雨風を完全に防ぎ、フォークリフトによる横積みが可能。物流業界の定番。
ダンプ:傾斜機構を備え、土砂や砕石など“流動性のある荷物”を短時間で排出可能。
選ぶ荷台によって作業フローや人員配置まで変わるため、現場のオペレーション設計にも直結します。の圧倒的な効率性を発揮します。
平(ひら)ボディとは?

平ボディの構造と特徴
「平ボディ(平車)」は、屋根や側壁がないオープンタイプの荷台で、最も一般的な形式です。
どの方向からでも積み下ろしができ、クレーンやフォークリフト、人力などあらゆる作業スタイルに対応できます。
メリット(汎用性・積み下ろしのしやすさ)
- 積み下ろしが自由:上・横・後ろどこからでも作業可能。
- 汎用性が高い:木材、鉄骨、機械、農産物など幅広い荷物に対応。
- 価格が安い:構造がシンプルで導入コストが低く、修理も容易。
- カスタム性が高い:アオリや床材を用途に応じて変更しやすい。
デメリット(荷物の保護が難しい)
- 雨風・ホコリの影響を受けやすく、濡れると困る荷物には不向き
- 荷崩れ防止策(シート掛け・ロープ固定)が必須
向いている用途・業種
建設業・農業・鉄工業など、屋外作業が中心で多少の汚れを気にしない現場。
現場間の短距離輸送にも最適です。どに最適。とくに屋外作業の多い業種で重宝されています。
ウイングボディとは?

ウイングボディの仕組み(側面開閉式のアルミウイング)
ウイングボディは、荷台の両側が「翼(ウイング)」のように上方向へ開く構造を持ち、アルミパネルが電動または油圧で開閉します。
狭い場所でもスムーズに荷役でき、フォークリフトが横から直接積み込める点が大きな利点です。
メリット(雨風を防げる・積み下ろしが速い)
- 雨風を完全にシャットアウト:輸送中の荷物をしっかり保護。
- 作業効率が高い:開口部が広く、積み下ろしが短時間で完了。
- 見た目がスマート:企業ロゴを入れることでブランディング効果も。
デメリット(重量・コスト・メンテナンス性)
- 平ボディに比べて車両重量が重く、燃費が悪化しやすい
- 開閉機構のメンテナンス費用がかかる
- 導入コストが高め
向いている用途・業種
物流・配送業、食品メーカー、電子機器輸送など。
全天候型の輸送を必要とする現場に最適です。、天候を気にせず短時間で大量の荷物を扱う業種に最適です。
ダンプとは?

ダンプの特徴(荷台が傾いて自動で荷下ろし)
「ダンプトラック」は、油圧シリンダーで荷台を傾け、積載物を自動で排出できる構造を持つトラックです。
メリット(大量の砂利・土砂を効率的に運搬)
- 荷下ろしがボタン操作で完了し、人手がかからない
- 大量の土砂や砕石を短時間で運べる
- 過酷な現場での耐久性が高い
デメリット(用途が限定される)
- 積載物が「流れ落ちるもの」に限られる
- フラットな床ではないため他の用途には不向き
向いている用途・業種
建設現場、土木工事、解体工事、採石場など、「重くて汚れる資材」を扱う現場に特化しています。
主要荷台タイプの比較表
荷台タイプ | 積載効率 | 防水性 | コスト | 汎用性 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|---|
平ボディ | ◎ | × | ◎ | ◎ | 建設資材・木材・農産物 |
ウイングボディ | ○ | ◎ | △ | ○ | 物流・食品・工業製品 |
ダンプ | △ | × | ○ | × | 土砂・砕石・建設現場 |
現場で求める「スピード」「防水性」「汎用性」によって最適な荷台は異なります。
クレーン付きトラック(ユニック)

クレーン付きトラック(ユニック)の特徴(荷台に小型クレーンを搭載)
「クレーン付きトラック(ユニック)」は、荷台の前方や中央に小型のクレーンを搭載し、重量物を自力で積み降ろしできる構造を持つトラックです。
メリット(人力では難しい積み下ろし作業を省力化)
- 荷役作業を一人でも安全・効率的に行える
- フォークリフトが使えない現場でも活躍
- クレーンの操作範囲が広く、積み降ろし位置の自由度が高い
デメリット(積載量や車体重量に制限がある)
- クレーンを搭載する分、積載できる重量が減る
- 操作には資格(小型移動式クレーン免許など)が必要
- 機構が複雑なため、メンテナンスコストがやや高い
向いている用途・業種
建設資材や機械、鉄骨、木材など「重くて持ち上げが必要な荷物」を扱う現場に最適です。建設業、電気工事業、造園業、鉄工所などで幅広く使用されています。
冷凍冷蔵車

※写真参照:ワコーパレット
冷凍冷蔵車の特徴(温度管理ができる荷室を搭載)
「冷凍冷蔵車」は、荷室に冷却装置と断熱構造を備え、一定の温度を保ちながら食品や医薬品などを運搬できるトラックです。冷凍専用・冷蔵専用・切替式など、用途に応じた仕様があります。
メリット(品質を保ったまま輸送できる)
- 食品や生花、医薬品などを鮮度維持したまま配送可能
- 外気温の影響を受けにくく、長距離輸送にも対応
- 冷却温度を細かく設定でき、幅広い業種に対応できる
デメリット(荷室が重く積載量が減る)
- 冷却装置や断熱材の分だけ車両重量が増加
- 燃費が悪化しやすく、メンテナンスコストも高い
- 荷室スペースが狭く、大型荷物の積載には不向き
向いている用途・業種
食品配送、スーパーやコンビニへの納品、医薬品や精密機器の輸送など、「温度管理が求められる商品」を扱う物流業や食品関連業に適しています。
平ボディ+幌(ほろ)仕様

※写真参照:ベストカーweb
平ボディ+幌(ほろ)仕様の特徴(荷台を幌で覆って荷物を保護)
「平ボディ+幌仕様」は、オープンな平ボディに幌(シートカバー)を取り付け、荷物を雨風や直射日光から守る構造を持つトラックです。幌の開閉が容易で、積み降ろしの自由度が高いのが特徴です。
メリット(柔軟に使える汎用トラック)
- 幌の脱着が簡単で、荷物のサイズや形状に柔軟に対応
- 荷台を開放できるため、フォークリフトでの積み込みが容易
- 雨やホコリから荷物を保護できる
デメリット(完全な防水・防寒には不向き)
- 幌の劣化や破損によって防水性能が低下する
- 強風時は幌があおられるなど、扱いに注意が必要
- 外観が簡易的で、長距離・高級輸送には不向き
向いている用途・業種
農産物、日用品、引っ越し荷物、建築資材など「ある程度の防水性が必要な一般貨物」の輸送に向いています。中距離輸送や多用途での使用に最適なトラックです。
荷台選びのポイント
- 輸送する荷物の種類と頻度
常に濡らせない荷物を扱うなら、ウイングや幌付きが安心。 - 積み下ろし環境(フォークリフト有無・人力など)
フォークリフト使用が多い場合はウイング、手積み中心なら平ボディが適しています。 - コストとメンテナンス性のバランス
導入コストだけでなく、燃費・整備費・修理費まで含めて総合的に判断するのが重要です。
まとめ
本記事では、代表的なトラック荷台の種類と特徴を詳しく解説しました。
- 平ボディ:最も汎用性が高く、建設資材や機械など幅広い荷物に対応できる万能型。
- ウイングボディ:防水性・作業効率に優れ、物流や製造業で主力となるタイプ。
- ダンプ:大量の土砂や砕石などを効率的に運べる、重作業現場特化型。
さらに、用途に応じて選ばれる特殊タイプの荷台も多様です
たとえば、クレーン付きトラック(ユニック)は重量物の積み下ろしを1台で完結でき、建設・インフラ工事などで高い作業効率を発揮します。
また、冷凍冷蔵車は温度管理を必要とする食品・医薬品・花の輸送に欠かせない存在で、品質維持と安全輸送を両立します。
コストを抑えつつ荷物を守りたい場合には、平ボディ+幌仕様が有効です。天候に応じて幌の着脱が可能で、柔軟に対応できる点が評価されています。
このように、トラックの荷台は単なる「荷物を載せる場所」ではなく、業種・作業環境・荷物特性に合わせて最適化すべき重要な装備です。
現場のニーズを丁寧に見極め、自社にとって最も効率的かつ経済的なタイプを選ぶことで、作業の生産性・安全性・コスト削減を同時に実現できます。
トラックはビジネスの“相棒”です。
荷台選びを見直すことで、日々の業務をより快適でスマートに進化させましょう。