企業はCSRの一環で地域貢献を行うところも増えてきました。
CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で、企業の社会的責任という意味です。
企業が地域とともに成長していくためには、「地域貢献」が重要なキーワードになります。規模の大小に関係なくあらゆる企業が取り組むことで、地域活性化、信頼構築、人材採用など多角的なメリットが生まれます。
本記事では、企業にとっての地域貢献の意味や取り組みやすい施策、低コストのアイデア、効果を最大化する方法、さらにスペシャルワン株式会社の実際の成功事例までを詳しく解説します。
企業にとっての地域貢献とは
地域貢献の定義
地域貢献とは、企業が事業活動の一環として 地域社会の発展、暮らしの向上、安全・環境の改善、文化振興などに寄与する行動 を指します。寄付のような資金提供だけでなく、技術提供、人材派遣、イベント参加、安全対策など、その形は多様です。
特に近年は、SDGsやESG投資の広がりにより、企業が社会の一員として地域に責任ある行動を求められる流れが強まっており、地域自治体や住民との連携の重要性が高まっています。※ESGとは、環境（Environment）、社会（Social）、ガバナンス（Governance）の頭文字をとった言葉です。
地域貢献が注目される背景
企業の地域貢献が注目される理由には以下のような変化があります。
- SDGs・ESG意識の高まり
社会課題解決への取り組みが企業価値に直結する時代に。 - 地域人口減少・高齢化
地域を支える企業が役割を補完するケースが増加。 - 企業と住民の距離が近くなった
SNSや口コミにより、地域での存在価値が評価されやすくなった。 - 採用における企業の姿勢が重視されるようになった
若い世代ほど「地域に必要とされる企業」への志向が高い。
単なる「善意の活動」ではなく、時代の要請として、企業が長期的に存続し、地域から信頼を得るためのビジネス戦略として地域貢献が求められているのです。
中小企業が取り組みやすい地域貢献施策
中小企業は人員・予算が限られているため、大企業のような大規模なCSR活動は難しい場合もあります。しかし、中小企業だからこそできる地域密着の取り組みがあります。
社員参加型の地域貢献施策
社員が主体となって動くことで、企業全体の一体感やモチベーション向上にもつながります。
- 地域清掃活動の定期開催
- 地元イベントへのボランティア参加
- 子ども向けの工場見学・会社見学
- 地域のお祭り・マルシェのサポート
- 防犯パトロールや交通安全運動の参加
「社員参加型」は低コストで実施でき、地域からの評価も高く、継続しやすいのが特徴です。
家族・子どもとできる地域貢献
近年は「家族参加型CSR」も注目されています。企業のイメージアップだけでなく、社員満足度向上にもつながります。
- 子ども向けワークショップの開催
- 地域図書館・学校への寄贈
- 夏祭りや地域レクリエーションの協賛
- 子ども食堂への支援
- 親子で参加できる清掃活動
「家族と参加できる」取り組みは、社員にとっても良い思い出となり、会社へのロイヤリティ向上にも効果があります。
低コストで始められる地域貢献アイデア
地域貢献というと「お金がかかりそう」と思う人も多いですが、工夫次第でほぼコストをかけずにスタートできます。
地域清掃や草刈り活動
ほとんど費用をかけずに始められる代表的な地域貢献施策です。会社周辺を清掃するだけで、地域からの信頼度は大きく上がります。
駐車場・敷地の一部開放
イベント開催時や災害時に駐車場を開放する企業も増えています。
SNSを活用した地域情報の発信
地域の魅力やお知らせを発信することで、地域活性化に貢献できます。
広報に強い企業ほど効果が大きく、地元のファンづくりにもつながります。
専門知識・技術の無料提供
会社が持つノウハウを地域の人に活用してもらう形です。
例）
- 整備工場 → 車の安全点検イベント
- IT企業 → スマホ講座
- 建設会社 → 防災講座
- カメラマン企業 → 撮影会・写真講座
専門性を活かした地域貢献はブランディングにも直結します。
使用していない備品の寄付
オフィス用品、子ども向けグッズ、イベント用備品など、捨てる予定の物を再活用してもらう形の地域貢献も増えています。
地域貢献の効果を高める方法
地域貢献を単発で終わらせてしまうと効果は限定的です。
重要なのは 「継続」「発信」「連携」 の3つを意識することです。
地域貢献がもたらす効果
企業が地域貢献に取り組むことで、以下のような具体的な効果が期待できます。
- 地域住民からの信頼構築
- 従業員満足度・エンゲージメント向上
- 採用力向上（特に若手の応募が増える）
- 企業イメージアップ・ブランディング強化
- 地域企業とのネットワーク構築によるビジネス機会の創出
これらの効果を最大化するには、企業としての方向性や理念と地域貢献をつなげることが重要です。
効果を高める３つのポイント
継続性を持たせる
「毎月1回の清掃」「毎年同じイベントに協賛」など、継続性が評価につながります。
SNS・HPで積極的に発信する
せっかくの活動も知られなければ意味がありません。
写真つきで発信するだけで地域や顧客の見方が変わります。
行政・地域団体と連携する
自治体、学校、地域団体と協力すると、より大きな影響を生み出せます。
企業の地域貢献成功事例
こども食堂むすびえ〜こども食堂
昨年個人的にこども食堂活動について取材に伺ったことがあったので一例としてあげていきます。
むすびえという認定NPO法人です。
NPO法人なので企業のCSRとは少し異なるかもしれませんが、以下のような活動で企業は全国の子どもたちの食を守っています。
- ・こども食堂への食材の寄付
- ・資金・場所・プログラムの提供
- ・社員によるボランティア
（参照：認定NPO法人むすびえ）
株式会社ルネサンス〜地域のスポーツ活動・交流
ルネサンスはフィットネスクラブ運営をしている企業ですが、地域のスポーツと深く関わるCSR活動をしています。
例として、熊本南クラブが地元のお祭りに参加して地域交流をしたり、抽選で体験チケットを配布。 また、仙台泉中央クラブではクラブ周辺の地域一斉清掃に社員・会員が参加し、地域環境美化に貢献しています。 こうした取り組みを通じて、地域住民とのコミュニケーションを強化し、健康づくりのきっかけづくりも兼ねています。
ポイント：自社の事業（スポーツクラブ運営）とCSRを自然に融合させた地域貢献。中小企業に限らないが、地域密着を意識した良いモデル。
（参照：ルネサンス）
スペシャルワン株式会社〜スポーツ事業・野菜地域直売会
スペシャルワン株式会社は、自動車防錆技術を中心に事業を展開する企業でありながら、「地域社会とともに成長する企業」を目指し、さまざまな地域貢献に取り組んでいます。同社の地域への向き合い方の根底には、企業理念として掲げる指針 “人の心も錆びさせない” という言葉があります。
これは、防錆技術で「車を錆びさせない」だけに留まらず、
人の心にも豊かさ・温かさ・希望を届けたい
という想いが込められています。
この理念を具体的に実現するために創設されたのが「ワンダフル事業部」です。
ワンダフル事業部の設立背景と目的
ワンダフル事業部は、スポーツが持つ力を地域の人々の未来育成に活かすことを目的に設立されました。スポーツは心を動かし、人を成長させ、新しい世界を教えてくれるものです。同社は「人の心を豊かに保つためには、スポーツとその“行動チャンス”が必要である」という強い信念を持ち、スポーツを軸とした社会貢献に取り組み始めました。
この事業部では、単にスポーツイベントを開催するだけではなく、
地域や社会に貢献できる体験・経験・機会を創り出し、スペシャルワンの社会的役割そのものを高めていくこと
を最大の目的としています。
子どもや障がいをもつ人々へ向けたインクルーシブな取り組み
ワンダフル事業部の主な活動は、小学生以下の子どもや、障がいを持つ方々を対象としたプログラムです。
どのような家庭環境で育ったとしても、どのような境遇にあっても関係なく、
誰もが夢に向かって第一歩を踏み出せる機会を届けたい。
その想いから、さまざまなスポーツ体験や学びの場を用意し、すべての子どもが気兼ねなく参加できる「インクルーシブな環境づくり」に力を注いでいます。
特に、小さな子どもたちは将来の可能性が大きく広がる大切な時期です。だからこそ、社会全体で子どもの未来を育む必要があります。スペシャルワンはその一端を担うべく、スポーツを通した体験型の学びや、交流イベントなどを積極的に実施しています。
地域・社会とのつながりを深めるスポーツイベント
ワンダフル事業部は、地域コミュニティの活性化にも力を入れています。
スポーツイベントや体験プログラムには、地域の子どもたちだけでなく、家族、地域住民、時には行政や地域団体が参加することもあり、
「支え合う・つながる・笑顔が生まれる」地域づくり
を後押しする役割を担っています。
イベントを通じて、地域の人々が自然とつながり、支え合える関係が生まれることで、地域全体がより豊かな空間になっていきます。こうした活動は、企業の社会的信頼を高めるだけでなく、社員にとっても地域への誇りを感じられる機会になっています。
新しいスポーツの融合による“ワンダフル”な体験の創出
ワンダフル事業部の挑戦は、従来のスポーツ活動にとどまりません。
さまざまなスポーツや文化活動の融合に取り組み、驚きや発見のある“ワンダフル”な体験価値を創り出しています。
スポーツと遊び、学び、地域文化などを組み合わせることで、スポーツ未経験の子どもや、障がいを持つ方々も参加しやすい新しいカタチのプログラムが生まれています。
このような挑戦そのものが、スペシャルワンが掲げる理念
“人の心も錆びさせない”
を着実に体現しています。
朝どれ野菜直売会も開催し、地域に密着した取り組みに
スペシャルワン株式会社はスポーツだけでなく、地域の生活を支える取り組みにも積極的です。
本社ガレージでは定期的に
「朝どれ野菜直売会」
を開催。地元農家さんの新鮮な野菜の販売だけでなく、福祉施設「カプカプ川和」で作られたパウンドケーキやクッキーの販売など、地域の産業や福祉と連携した活動を展開しています。
ここには、
「地域で働く人・住む人が自然に集い、つながり、助け合える場づくり」
という企業の願いが込められています。
地域の人々にとって身近で親しみのあるイベントとなり、
“地域に寄り添う企業”
というスペシャルワンのブランド価値をより強固にしています。
防錆技術の提供を通じた“安全”への貢献
もちろん、同社が本業として行う防錆技術・荷台保護材の技術提供も、地域貢献の視点で見れば非常に大きな役割を果たしています。
防錆ブランド「ラストムーン」や「タフライナー」を通じて、加盟店となった地域の整備工場が新しいサービスを提供できるよう支援。技術提供だけでなく施工指導・営業サポートまで行うことで、地域の整備工場の事業拡大に貢献しています。
結果として地域の自動車安全性が向上し、地域社会全体の交通事故防止にも寄与するという社会的価値を生み出しています。
地域イベントへの参加と発信で信頼を育む
スペシャルワンは全国のイベントにも積極的に出展し、地域住民に向けて車の安全・防錆の大切さを伝えています。
これらの活動をSNSで発信し、地域の加盟店や協力企業とも連携してPRすることで、
「地域とともにある企業」
というブランドメッセージを広く浸透させています。
まとめ：企業規模に関係なくできる地域貢献
地域貢献は「大企業だけのもの」ではありません。
むしろ、中小企業こそ地域との距離が近く、
小さな取り組みでも大きな価値を生み出せます。
- 社員参加型の清掃活動
- 地域イベントのサポート
- 専門知識の提供
- 子どもや家族と参加できる企画
- SNS等による情報発信
これらはすべて低コストで、今日からでも始められる地域貢献です。
スペシャルワン株式会社のように、
「企業の専門性 × 地域のニーズ」 を掛け合わせることで、地域に必要とされる存在となり、結果として事業の成長にもつながります。
地域とともに歩む企業こそ、長く愛され、信頼される企業です。
ぜひ、自社に合った形から地域貢献をスタートしてみてください。
