東北お得電力は安い?メリット・デメリット。東北電力との違いは?
物価はどんどん上がり、近年電気料金も値上げの傾向が著しくなってきています。
2024年5月使用分(6月請求分)までは、激変緩和措置という制度によって電気・ガス代の補助を全員が受けられていました。しかし夏でエアコンが必要になってくる6月使用分からその割引もなくなりますので、燃料価格の高騰などにより今後もますます電気代の値上げは大きくなっていくと言われています。
電気料金は電力の自由化によって、電力会社を選べる時代になりました。うまく使ってできるだけ日々の生活費を削減していきたいところですよね。
東北でお安い価格で電気が使える、東北お得電力という会社があるのようなので、実際に電気料金は安いのか、メリットデメリットや、大手電力会社の東北電力との違いについてご紹介していきたいと思います。
そもそも東北エリアは電気料金が高い
1世帯あたりの電気料金の額のランキングの10位以内に東北エリアの県がなんと4県も入っています。全国平均と比べると、およそ月に1,000円高いため、他県よりもかなり電気代がかかっていることがわかります。
電気料金の割合を大きく占めるのがエアコンのため、冬の寒さが厳しい東北地方はどうしてもエアコン料金が高くなってしまうからです。その分夏は涼しく節約できますが、昨今では温暖化により東北地方でも30度を超える地域が出てきているため油断はできません。
このように東北エリアは電気の使用量が他県よりも多いと言うことがわかりましたが、それはその分節約の余地が他県よりもあるということです。
基準の価格を下げることができることができれば、大きく月額の料金を下げることができます。
東北お得電力とは?なぜ安いの?
東北お得電力とは通常の大手電気会社よりも低価格な、東北地方で提供されている新しい電力会社です。
運営会社は株式会社Qvouです。
東北の他にも東京お得電力、関西お得電力などその地域に特化したサービスを展開しており、太陽光発電や不動産、生命保険なども取り扱っています。東北お得電力は大手電力会社と比較すると基本料金・従量料金が安く、最近の電力自由化によって乗り換える人が増えてきています。
大手電力会社の東北電力とはどのような違いがあるのでしょうか?
大手電力会社と比べて料金プランが安い理由は、
- 発電会社から電気を買い取るだけでなく独自で太陽光発電の発電を行うこと、
- 小規模でお客さんのターゲットを絞った運営をすることによって人件費や管理費を抑えていること、
- 自社発電の電気は大手電力企業の送配電設備を使うことで設備投資にもお金がかからないこと
があげられます。
このように東北お得電力は電気の質や安全性はそのままに、低コストかつ環境にやさしい発電を実現しています。
東北お得電力と東北電力の違い
まず初めに認識しておきたいのが、東北お得電力と東北電力は全く別の会社です。
名前が似ているので同じ会社のお得プランと思ってしまう方が多いようなのですが、全く違う電力会社ですので注意しましょう。
東北電力は1951年に創業した、東北電力株式会社が運営している電力会社です。
東北6件、主に新潟県や関東地方で電力の小売業や発電事業などを行っています。
電気ガス業界の売上高ランキングも、東京電力HD、関西電力、中部電力の次の4番目の位置にいる大手の会社です。(2兆1,044億4,800万円(2022年度実績))東北電力は安定的な電気を供給するために大型の設備投資を行っています。
大手電力会社では安定的な電気の供給、長年の信頼と実績、他社との提携などが行われていることが大きな特徴です。
一方東北お得電力は、親会社が株式会社Qvouです。
最初は1985年に久保保険事務所として創業し、2005年に有限会社Qvouとして設立されています。太陽光発電事業や不動産事業を手掛けていますが、電力事業を始めたのは2021年からとまだまだサービスは始まったばかりの会社です。
自然にやさしい電力供給をしているところや、大手と比べて平均3%お安い電気料金で少しずつ人気を上げてきているようです。
東北お得電力と東北電力の電気料金、解約料金など比較
基本的に使用するプランは従量電灯Bと言われる一般家庭用の電気料金プランです。基本的に1人〜2人暮らしだと30Aが一般的なので、そこに絞った比較をしていきます。
電気料金の計算は、
基本料⾦+電⼒量料⾦±燃料費調整額+再⽣可能エネルギー発電促進賦課⾦ となります。
以下の図では、比較対象よりも安い部分を赤字にしています。
※30A従量電灯Bプランの場合 | 東北お得電力 | 東北電力 |
基本料金 | 1,075円54銭 | 1,108円80銭 |
電力量料金(最初の120kWhまで) | 28円73銭 | 29円62銭 |
電力量料金(120kWh~300kWh) | 35円28銭 | 36円37銭 |
最低月額料金 | 348円18銭 | 358円95銭 |
燃料費調整額 | 上限なし | 基準燃料価格の1.5倍が上限 |
解約料金 | 3,000円 | なし |
プラン変更料金 | 3,000円(2回目以降) | なし |
※東北お得電力では、一般的な従量電灯Bとは別にニーズに合わせた細かな料金体系があります。お得ネットバリュー、お得ファミリーバリュー、お得シーズン&タイム、お得ナイト12、夜間プラン12、お得ナイト&ホリデーなどがあります。
詳しい料金体系は、東北お得電力の料金表をご覧ください。(東北電力の料金表はこちらです。比較に使ってみてください。)
東北お得電力のメリット
月の電気料金が安い
やはりなんといっても東北お得電力に切り替えるメリットは、月々の電気料金が安いことです。
料金比較でもご覧の通り、基本料金は30円、電力量料金は1円、最低月額料金は10円安くなっています。そのため、長期間、大容量使えば使うだけ月額料金がお得になる場合が多いです。
また、東北電力から東北お得電力への切り替えには解約料金がかからない為、切り替えたいタイミングで気軽に変更できるのも嬉しいポイントです。
東北お得電力のデメリット
ガスセットプランがない
東北電力には様々なガス会社との提携のセットプランがあり、割引やポイント還元などを行っていますが、東北お得電力にはそういったキャンペーンなどがありません。
例えば、宮城県にお住まいの場合、東北電力+仙南ガスまたは仙台プロパンガスの利用で月々300円程お得になります。さらにパレット倶楽部に登録すると共通ポイント・電子マネーに交換できる「ガスマイル」がセットプラン契約時に1,000ガスマイル、そして毎月100ガスマイル貯まります。
東北6県にお住まいの場合は、カメイガスとのセット契約で月々300円程割引となります。
現時点では東北お得電力にはそういったキャンペーンがありませんので、割引やポイントが貯まらない分お得にはならないと言えます。
解約時に事務手数料3,000円かかる
東北お得電力加入のネックな部分は、解約事務手数料に3,000円かかる点です。
一度契約したら他社への切り替えをしないこと前提であれば問題はありませんが、他社では解約手数料がかからないのに東北お得電力は3,000円かかってしまうのは大きな痛手です。
東北電力から東北お得電力への切り替えは費用もかからず楽ちんですが、東北お得電力から東北電力への切り替えには解約料がかかってしまうので十分に注意しましょう。
燃料費調整額に上限がない
もう一点デメリットなのは燃料費調整額に上限がないことです。
東北電力などの大手電力会社では、急激な電気料金の高騰が起きないために上限が設けられていますが、東北お得電力には上限がありません。
燃料価格が高騰した場合には、東北お得電力の方が燃料費調整額が高くなる可能性があります。現在は調整額がマイナスになることが多いので問題視されていませんが、今後何か不利益を被る可能性は十分に考えられます。
そういった面も十分に理解した上で契約するかどうかを決める必要があります。
東北お得電力の契約方法
東北お得電力の契約方法はとても簡単です。一番面倒に感じるのが切り替えだと思うのですが、面倒な切り替え作業はほぼありません。
- 切り替え工事不要
- 現在使用している電力会社への連絡不要
- 電気機器の交換不要
以上3点が特徴です。
切り替えと言うと手続きがかなり面倒に感じるかもしれませんが、以下のように電話やネットで連絡を入れるだけで切り替えができてしまいます。
電話での切り替え
電話で検針表が手元にある場合、5分で切り替えが可能です。
※電話切り替えは9:00〜18:00 (日曜、祝日、夏季休業、年末年始休業 は除く)となっています。
検針表がない場合は、以下の情報を加入電力会社に問い合わせて準備してから電話しましょう。
- 供給地点特定番号 ※0で始まる22桁
- お客さま番号
- 現在ご加入のプラン
ネットでの切り替え
電話対応の時間外や電話での切り替えではなく、ネットで切り替えをしたい人は東北お得電力のサイトから切り替えが可能です。(約5分)
こちらも検針表に記載のある、供給地点特定番号、お客さま番号、現在ご加入のプラン名が必要です。
急ぎでの切り替えを希望する場合や、不明点などがあって色々と質問したい場合はネットではなく電話での切り替えがおすすめです。
結局東北お得電力は安いのか?
1つ前の比較画像を見ていただいた通り、基本料金や電力量料金、最低月額料金は大手の東北電力よりも安いことがわかりました。
ただ燃料費調整額に上限がなかったり、解約料金やプラン変更料金がかかったりと燃料価格の高騰や何か不測の事態があった時にそれ以上の損をしてしまう可能性があります。また、ガスとのセットプランがなかったりと総合的、長期的に考えると東北お得電力はあまり安くないと結論づけました。
ただ最近の動向では燃料費調整額がマイナスのことが多いので、この情勢が続くのであればお得な場合も高いですし、未来にかかるかもしれない解約料金や変更料金よりもとにかく月額料金を抑えたい場合、特にガスとのセットプランの割引料金よりも電気の使用量が多く、電気料金の割引額の方が大きくなりそうな家庭にはおすすめできます。
これからの季節、エアコンの電力を抑えるための豆知識
これから真夏がやってくると言うことで、東北にお住まいの方も他人事ではありません。
エアコンの利用は大切ですし、身体を壊してしまっては元も子もないので適宜使うのはもちろんなのですが、エアコンの使用を抑える手立てがあるとすると、以下の通りです。
サーキュレーターの導入
エアコンは最低限の温度に設定して、サーキュレーターを使ってその冷風を部屋全体に循環させることで電気代の高いエアコンの費用を抑えることができます。また、エアコンもあまり低い温度設定にして直接当たってしまうと身体が冷えて風邪をひいてしまったり、乾燥して喉風邪になる恐れがあります。
エアコンとサーキュレーターの掛け合わせで電気料金と健康のどちらも良い状態をキープして生活してみてはいかがでしょうか。
季節外にコンセントを抜くだけで年間300円の節約
また、エアコンの使用季節ではない時はコンセントを抜いておくだけで年間300円の節約になります。
春や秋の季節はコンセントを抜いておきましょう。
スイッチの頻繁なオンオフは控える
中途半端な暑さの時はエアコンを入れると寒く、消すと暑くなることも多いので頻繁にスイッチをオンオフしてしまいがちですがあまり得策とは言えません。
エアコン起動から最初の1時間は20円、その後は1時間5~10円程度の電気料金がかかると言われています。
最初に部屋を冷やすことに一番電気が使われるので、なるべく自動運転にするか、サーキュレーターを使って部屋の温度が一定になるように工夫しましょう。
東北お得電力は本当に安いのか?まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
東北電力と東北お得電力は全く別の電力会社だということ、東北お得電力は人件費や設備投資のコストを抑えていることから月額料金が安いことがわかりました。
また、東北お得電力への切り替えをすると安くなるのかについては、月々の電気料金は安くなるが、燃料調整額の上限がないことやガスとのセット割引がない、解約手数料や変更手数料がかかるといった意味ではトータルで大手の東北電力よりも高くついてしまう場合もあるため、よく自身で検討する必要がありそうです。
自分の家の電力やガスの使用量、ライフスタイルに合わせて東北お得電力を使ってみるかどうか決めてみてくださいね!
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